74 ホーキング放射(その2) Hawking Radiation 2【ブラックホール】

量子論の特徴の一つは、からっぽの空間というものがないことである。一見からっぽに見えても、ミクロなスケールでは常に正エネルギーと負エネルギーの仮想粒子の対生成がおこなわれている。
・正エネルギーの粒子はエネルギーを持っているため、エネルギーが大きければブラックホールから逃れることができる。一方、負エネルギーの粒子はブラックホールに吸い込まれる。負エネルギーの粒子が吸い込まれるため、結果的にはブラックホールのエネルギーは減り、ブラックホールは次第に小さくなっていく。ブラックホールが「蒸発」していくのだ。
・ただし、蒸発しきるまでの時間、ブラックホールの寿命も1059 億年と宇宙年齢約140 億年と比べて桁違いに長い。

出典:ブラックホールの謎に迫る 2004 年日本物理学会科学セミナー
アインシュタインと21世紀の物理学」テキスト(2004年8月5日-6日)
高エネルギー加速器研究機構 夏梅誠
http://www.h7.dion.ne.jp/~natsuume/articles/jps_seminar_txt2.pdf