3 小さな私 In order to grow more【プロローグ】

ある旅人が大社に詣でて、自分の目標を問うた。
すると声がした。
「すでにお前の心にあるものを、なぜ俺に問う」
旅人は、その答えを聞いて、自分がつまらん小さな人間と言われた気がした。
わざわざここまで来て、俺はなんてつまらんことをしたのだろう。
もう神社になど参るまい。
その日、旅人はすっかり疲れ切って眠りについた。

「そう言えば神様は、俺をつまらん小さな奴とは言わなんだな」
「そう思ったのは俺自身であった」
「俺の心は小さくなっていたのだなあ」
目が覚めた旅人の心は軽くなっていた。
「ありがたや」