98 自立【知性を探る】宇宙との対話

98 自立【知性を探る】
 「『他者とは異なる自分』への気づきは、若い人にとって貴重な体験です。それは自立へと向かう、きっかけになるのです。ところが、残念なことに多くの人は、自立へと向かわずに、自立とは逆の依存へと向かってしまいます。身近な誰かと一体化することで、孤独を打ち消そうとするのです。
 依存の対象は、恋人であったり、親友であったり、家族であったりします。それらは、自分の孤独を癒すための手段に過ぎないことから、相手の人格を無視して徹底的に独占しようとする、自己中心的な行動がたびたび見られます。あるいは、自分自身を完全になくしてしまい、相手の言いなりになったりするのです。
 毎日会いたい、いつでも一緒にいたい、自分だけの「もの」にしたい、という気持ちは、まさに依存の表れだと言えます。その願望は一時的に満たされたとしても、けっして長続きしません。なぜならば、相手は自分と異なる存在であり、自分とは別の人格だからです。」

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「依存状態にある時、自分の人生の主役は自分ではありません。依存対象の相手が自分の人生の主役になっており、自分の人生を支配しているのです。自立とは、自分の人生の主役に自分がなること」・・・「いずれにしても、孤独に弱いままでは、夢を実現することができません。それぞれが孤独を引き受け、夢の実現に向けて努力することが、互いの人格を尊重し合える、よりよい人間関係を可能にするのです。」

原典:諏訪茂樹『援助者のためのコミュニケーションと人間関係 第2版』建帛社
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