29 宇宙とは?+宇宙論の歴史【宇宙とは】宇宙との対話

29 宇宙とは?+宇宙論の歴史【宇宙とは】宇宙との対話

Q:宇宙はなぜ、存在するという面倒なことをするのか?
Q:統一理論には自分自身の存在をもたらすほど大きな強制力があるのか?
Q:それとも創造主が必要なのか?
Q:もしそうだとすれば、創造主は宇宙に何か他の影響も与えるのではなかろうか?
Q:そして、創造主を創造したのはだれなのか?

出典:「ホーキング宇宙を語る」スティーブン・W・ホーキング(1995年4月15日発行)
 (p.239)

宇宙論の歴史】
1895年 ウィリアム・ジェームズ 多元宇宙という言葉を作る。
1900年 マックス・プランク(1858 -1947) は、光、X線その他の電磁波は、量子と彼
が呼んだ一定のかたまりとして放出されると唱えた。
○最近の宇宙論
:宇宙の始まりに存在したのは唯1つの力だけで、その後、電磁気力、重力、弱い力、重力の四つに分かれたという考え方から、これら四つの力を一つの形で表して統一しようとしている。
1905年 特殊相対性理論アルベルト・アインシュタイン(1879-1955)が発表した
電磁気学の理論。[電磁気力]
1915年 一般相対性理論[電磁気力+重力]
・質量が時空間を歪ませることによって、重力が生じることを説明した。
ニュートン力学で記述すると誤差が大きくなる現象(光速度に近い運動や、大きな重力場における運動)を正しく記述できる。
・時空は膨張または収縮し、定常にとどまることがないこと、限られた空間に大きな質量が集中すると、光さえ脱出できないブラックホールが形成されることを予測した。
1913年 ボーアの原子模型(ニールス・ボーア(1885-1962)):電子は波で、原子核を回る軌道の長さは波長(10のマイナス10乗m)の整数倍(ボーア、ド・ブロイ)
1920年代 量子力学(Quantum mechanics)
・原子・電子・電磁波が粒子としての特徴をもつと同時に波としての特徴をもつという
概念を導入した。
1925年 パウリの排他原理(オーストリア
      =二つの同じような粒子は同じ状態をとることができない。
      →つまり、この二つの粒子は、不確定性原理の課する制限の中で、位置と速度の両方が同じになることができない。
      →もしこの世界が排他原理なしで創造されたとすれば、クォークは別々 の、はっきり確定した陽子と中性子を形づくらなかっただろう。
       そして、それらが電子といっしょになって別々の、はっきり確定さ          れた原子を形づくることもなかっただろう。原子はすべて崩壊して、 ほぼ一様な高密度の“スープ”を形づくったことだろう。
1926年 ヴェルナー・ハイゼンベルグが、不確定性原理をまとめあげた。
      =ある粒子の未来の位置と速度を予測するには、・・・粒子に光をあてる。・・・少なくとも一つの量子は使わなければならない。この量子は粒子を攪乱し、その速度を予測のつかないやり方で変えてしまう。
      →それだけではない。測定をより精密に行おうとすれば、より短い波長の光が必要になり、それにつれて単一の量子のエネルギーもより大きくなる。したがって、粒子の速度が受ける攪乱もいっそう大きいことになる。
      →粒子の位置を正確に測ろうとすればするほど、粒子の速度は正確でなくなる。
      →粒子の位置の不確定さと速度の不確定さと粒子の質量を掛けたものは、プランク定数と呼ばれるある量よりも小さくできない。
1920年代 ハイゼンベルグ、エルヴィン・シュレーディンガーポール・ディラック
力学を不確定性原理にもとづいて定式化し直し、量子力学を作りあげる。
→粒子は、位置と速度の結合である量子状態をもつ。
量子力学が予測するのは、起こりうるいくつかの異なった結果。
1928年 ディラック理論・・・量子力学特殊相対性理論のどちらとも整合性のある理論
→電子にはパートナーとなる陽電子がある。
1932年 陽電子の発見
      →すべての粒子には反粒子があり、いっしょに消滅しあえる。
1948年 量子電磁力学(Quantum electrodynamics, QED)[電磁気力]
・電子を始めとする荷電粒子間に働く電磁相互作用を光子という粒子の受け渡しにより説明した。
量子力学特殊相対性理論のどちらとも整合性のある理論
・電子にはパートナーとなる陽電子がある。
1948年  ビッグバン・モデル(ガモフ)
1957年  ブライス・デウィット 多世界解釈を提唱。
1964年  ピーター・ヒッグスが質量の生成に関する理論を提唱した。
1970年 ペンローズとホーキングの共著論文
:一般相対論が正しく、かつ宇宙が、われわれが現に観測しているのと同じ程度の物質を含んでさえいれば、ビッグバン特異点があったはずだということを最終的に証明したもの。
・この証明は、一般相対性理論が不完全な理論にすぎないことを示している。この理論は、宇宙のはじまりにはそれ自信を含めすべての物理理論が破綻すると予測しているので、宇宙がどうはじまったかを説明できない。
・一般相対論はたんに一つの部分理論にすぎないのであるから、特異点定理が本当に示しているのは、宇宙のごく初期には宇宙が非常に小さく、そのために20世紀のもう一つの偉大な部分理論である量子力学が扱う小さな尺度の効果が、もはや無視できなくなるような時期があったにちがいないということなのである。
・しかし、量子効果を考慮に入れると特異点は消え去る。
1970年代 
○標準理論( Standard Model, SM) [電磁気力+弱い力+強い力]
大統一理論(Grand unification theory or Grand unified theory、GUT)[電磁気力+弱い力+強い力]
・電磁気力、弱い力、強い力を統一する理論で、 幾つかのモデルが作られているが、未完成の理論。
・ビッグバン理論(インフレーション宇宙)の基礎となっている。
・インフレーション宇宙論佐藤勝彦、アラン・グース 1981):宇宙は誕生直後の10のマイナス36乗秒後から10のマイナス34乗秒後までの間にその大きさが10の26乗倍(バクテリアが銀河の大きさ!)になったとする理論。
・インフレーションによって、1970年代に指摘されていたビッグバン宇宙論のいくつかの問題点が解決される。
(問題点)
1 観測される宇宙が極めて平坦であること(平坦性問題)
2 宇宙が極めて一様であること(地平線問題)
3 多くの大統一理論 (GUT) のモデルで存在が予言されている空間の位相欠陥が全く観測されないこと(モノポール問題)
1984年 超弦理論(Superstring theory 1984) [電磁気力+弱い力+強い力+重力]
・粒子を弦の振動として表す。
・想定する「ひも」の大きさが実証不可能に思えるほど小さい(プランク長程度とすると 10-35m)ことなどから、物理学の定説としての地位を得るには至っていない。
1993年 フリッツ・ツビッキーが暗黒物質を提唱
1995年 M理論[電磁気力+弱い力+強い力+重力]
1998年 マイケル・ターナー ダークエネルギーという言葉を作る。