151 ポンコツ【楽ガンぶろぐ】

151 ポンコツ

・ 運転開始から4時間。
・ 途中、ガストで休憩したものの、長坂インターチェンジを降りて八ヶ岳倶楽部向かうころから、脳味噌が腫れているような感覚で、鼻がつまり、思考がまとまらなくなってきた。
ビーフシチューのパイ皮づつみを待つ間に血圧を測ってみたら、かなり高い。
・ なさけないとは思うものの妻に運転を代わってもらうことにした。
・ 「ガンの手術で弱くなっちゃったのね」
・ あたしゃ、もとから運転が苦手だったんだよ。
・ それに、今回は風邪のぶりかえしかもしれない。
・ 山道を左右に揺られながら蓼科に移動する間、なんとかナビゲーターを務めようとするも、吐き気が襲ってきた。
・ 「脳がダメになっちゃうかも知れないわね」
・ 彼女の言葉がカウンターのようにあたしの気を失わせる。

・ 青空。
・ 白い雲。
・ 目の前に白い車が迫る。
・ あたしゃ息を吐き、愛車は音もなく発進する。
・ 時計をみると1時間近くたっていた。

・ 「お目覚めね。ポンコツさん」

・ ごめん。
・ 疲れたろう?

・ 「あたしはいくら運転しても疲れないわ。運転なんかで疲れる人ってなぜだか分からない」

・ あたしゃ、もとから運転が苦手だったんだよ。
・ それに、風邪のぶりかえしかもしれない。
・ さっき、すごく汗をかいたから。
・ あ、もうすぐ着くよ。

・あたしゃポンコツでないところを見せようと、必死でナビを始めた。